双極性障害とは
双極性障害は、気分の落ち込み、意欲の低下、不眠などを認めるうつ状態の時期と、それとは対照的に、テンションの⾼さが⽬⽴つ、気分が⾼揚して陽気になる、浪費が増える、眠らなくても疲れない、などの躁状態の時期を繰り返す慢性の精神疾患です。
「そううつ病」とも呼ばれます。
双極性障害の原因
双極性障害の発症の原因は、正確にはわかっていませんが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンなどが関係しているのではないかと考えられています。
双極性障害の症状
躁状態とうつ状態では認められる症状が異なります。
まれに躁状態とうつ状態が混在する混合状態を呈することもあります。
躁状態
- 落ち着きなく動き回る
- 話が⽌まらず、話の内容が脱線しやすい
- テンションが⾼く、⾃信満々になる
- 陽気な⼀⽅で、怒りっぽく、イライラしやすい
- 衝動買いをしたり、ギャンブルに⼤⾦を投じる
- 睡眠時間が短くても疲れを感じにくい
うつ状態
- 何もやる気が起きない
- 何をしても楽しくない
- ⾷欲がなくなる
- 疲れているのに眠れない、⼀⽇中寝てしまう
- 体がだるく、疲れやすい涙もろくなる
- ⾃分が何か悪いことをしたように感じる、⾃分に価値がないと感じる
- 死にたい気持ちになる
双極性障害の診断
双極性障害の場合、「うつ状態」の時に受診することも多いため、うつ病と診断されて治療を受けていた⽅が、のちに躁状態となり、診断が双極性障害に変わることもあります。
「躁状態」の時には病気であるという実感を持ちにくいため、ご家族や周りの⽅に病状を確認する場合もあります。
その他、⾝体の病気の症状の有無、服薬状況、持続期間などから総合的に診断します。
双極性障害の治療
薬物療法
「躁状態」と「うつ状態」の波を少なくする、振れ幅を⼩さくするために、気分の浮き沈みを安定させる作⽤のある薬剤を使⽤して治療します。
「躁状態」の時には主に気分安定薬や抗精神病薬を使⽤し、気分の⾼まりを抑えるようにします。「双極性障害のうつ状態」の場合、抗うつ薬を使⽤すると逆に気分の不安定化を招く恐れがあるため、気分安定薬を中⼼に、病状に合わせて⾮定型抗精神病薬なども使⽤することがあります。
双極性障害は、うつ状態を脱すると「軽い躁状態」となり、「元気になったから薬はもう必要ない」と通院や服薬をやめてしまう⽅も少なくありませんが、再発を防ぐためにも薬物療法を続けることが重要です。
病気の理解
双極性障害は慢性の精神疾患であり、躁状態とうつ状態の波をコントロールしていくことが重要です。
そのため、病気の特徴や薬に対しての理解を深めることで、⽣活上でのストレス要因を予測して、病状悪化のサインに早めに気づくことが出来ます。
また、気分の変化や⽣活リズムなど、必要に応じてご⾃⾝で振り返りを⾏っていくことで、安定した⽣活が送れるよう、診療内で相談していきます。