認知症とは
年をとれば、誰でも物忘れが増えたり、判断力が低下したり、新しいことを覚えるのに苦労したりするようになりますが、「認知症」はこのような「加齢による物忘れ」とは違います。
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶や判断力など)が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす病気です。
認知症の原因と種類
認知症の原因として最も多いと言われているのが「アルツハイマー型認知症」です。
長い年月をかけて、脳にアミロイドβ、リン酸化タウというタンパク質がたまり、それが神経細胞を破壊して脳が萎縮することで認知症をきたすと考えられています。
アルツハイマー病を発症する原因自体はまだ完全に解明されていませんが、遺伝要因や環境要因や生活習慣などが複雑に絡み合っていると考えられています。
その次に多いものが、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によって、一部の神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、認知症をきたす「脳血管性認知症」です。
また、大脳皮質に「レビー小体」という異常なタンパク質の塊が見られることで脳の神経細胞が減少して認知症をきたす「レビー小体型認知症」、 脳の前頭葉と側頭葉が萎縮していくことで発症する「前頭側頭型認知症」などもあります。
認知症によく見られる症状
- 同じことを何度も聞く、話す
- 置き忘れやしまい忘れが目立つ
- いつも通っている道で迷うようになる
- 日常的な物事に関心を示さなくなった
- やたらと怒りっぽくなった
など
認知症の診断と治療
認知症の場合には、物忘れがひどいなどの記憶障害が来院のきっかけとなるケースが多いですが、それ以外の症状(行動面、心理面での変化、精神症状の有無など)も診察の中で確認させていただきます。
また併せて、認知機能検査(HDSーRなど)を行い、必要がある方には専門医療機関をご紹介いたします。
薬物療法
認知症を根治させる治療法はありませんが、認知症の進行を遅らせたり、周辺症状(不安・抑うつ感、被害妄想、イライラ感など)に対して必要に応じて薬物療法を行います。
非薬物療法
認知症の進行を遅らせるための重要な治療法として、残っている認知能力や生活能力を活用していくリハビリテーション(作業療法)があります。介護保険サービスを利用したデイサービスなどでは、食事・入浴・排泄・家事など日常生活に関連した作業を通して心身の機能維持や強化を図ったり、音楽・手芸・運動などレクリエーションを通して認知機能の維持や回復を図る活動を行なっています。
また、家族以外の社会とのつながりを持つことで、社会性やコミュニケーション能力の回復・維持も図ることができます。
ご家族の介護の負担を軽減させていくことも、認知症治療にはとても重要です。
ご本人の状態に併せて、ご家族が無理なく介護を続けていけるよう、介護保険サービスの利用や紹介など、当院でも必要に応じて相談に乗りますので、お気軽にご相談ください。