うつ病とは
気分がひどく落ち込む、何をしても楽しくない、もの悲しい気持ち、気⼒が湧かないなどの精神症状や、眠れない、⾷欲がない、疲れやすい、などといった⾝体症状が続いて、⽇常⽣活や仕事に⽀障が出る病気です。
うつ病の原因
発症の原因については正確にはよくわかっていませんが、脳内の神経伝達物質の機能低下やバランスの乱れが関与し、感情や意欲をつかさどる脳の働きに何らかの不調が⽣じるためではないかと考えられています。
そのきっかけとして、つらい体験や悲しい体験などの強いストレスによる⼼理的な負荷が要因となる場合もありますが、引っ越しや転職などの環境変化、昇進や⽬標を達成した際の嬉しい出来事が要因となる場合もあります。
なお、うつ病になりやすい体質などの遺伝的なものや、脳や⾝体の病気や更年期障害などホルモンバランスが崩れる病気、⼀部の薬剤の副作⽤などが要因となることもあります。
また、真⾯⽬で⼏帳⾯、完璧主義、⽣真⾯⽬で責任感が強い、0か100で物事を考えやすい、などの性格傾向の⽅はうつ病になりやすいと⾔われています。
うつ病でよくみられる症状
精神⾯の症状
- 気分が落ち込む、憂うつな気分
- 何をするにもやる気が起きない
- イライラしやすい
- ⾃分を過剰に責める
- 頭の回転が鈍くなった感じがして、記憶⼒や理解⼒が落ちた気がする
- 考えがまとまらない、何も考えられない
- 涙もろくなる
- 「死にたい、消えたい」という考えが浮かぶ
⾝体⾯の症状
- 睡眠リズムの変化(寝つきが悪い、途中で何回も⽬が覚める、⼀⽇中眠いなど)
- ⾷欲の変化(⾷欲低下、過⾷など)
- 原因不明の頭痛、腹痛、肩こり、動悸、めまい、便秘、下痢、胃の不快感など
- 倦怠感(疲れやすい、疲れが取れないなど)
- 性欲がない
うつ病の診断
⽇々の⽣活の中で、誰にでも気分の落ち込みやなかなか眠れないといった経験はあると思いますが、脳が健康であれば時間の経過とともに元気になったり、改善するのが通常です。
しかし、上記の症状が続き、⼀向に改善しなかったり、悪化する場合には、うつ病が疑われるため注意が必要です。
また、気分の落ち込みはそれほど⽬⽴たないものの、倦怠感や頭痛・肩こりなどの⾝体の不調が続き、様々な病院で検査をしても原因がわからない場合、「仮⾯うつ病」が疑われる場合もあります。
ちなみに、注意しなければならないのは「双極性障害によるうつ状態」です。
うつ状態が改善したと思っていたら、テンションが⾼く、意欲亢進、浪費、多弁などの躁状態がみられる場合には「双極性障害」が疑われる場合があるため、慎重に診断を⾏う必要があります。
うつ病の治療
休息
まずは⾝体⾯での休息(睡眠、栄養、⾝体疲労など)をとり、精神⾯の回復(脳の機能回復)を促す必要があります。
症状が重い場合には、⼀時的に休職、休学などを検討し、充分な期間、休息をとっていただくことも必要です。
「やらなければならない」「⾏かなければならない」などのストレス状況をまず減らし、⾃分の体と⼼を⼗分に休めることが肝⼼です。
「周りに迷惑をかけるのではないか」「⾃分はこんなに怠けて良いのだろうか」などと気に病んだり、⾃分を責めたりすることなく、「休むこと」が治療であり、病気を治すために必要なことなのです。
薬物治療
充分な休息をとっても症状がなかなか改善しない場合や病状が重い場合は、薬物療法が必要になります。
主に使⽤する薬剤は「抗うつ薬」になります。
抗うつ薬はバランスの乱れた脳内の神経伝達物質の働きを回復させる⼿助けをするため、うつ病の症状改善を図ることが期待できます。
抗うつ薬はいくつかの種類があり、効果の特徴や副作⽤の種類が異なるため、症状や状態に適した抗うつ薬を選択し、治療を⾏いながら、診察の中で薬の量や種類を調整していきます。
療養中の⽣活
- なるべく⽣活リズムを整え、⾷事も可能な範囲で摂るようにしましょう。
- 薬は飲み忘れないように飲みましょう。薬をやめたい、減らしたいと思うときは主治医に相談しましょう。
- 重⼤な決断はしないようにしましょう。
- ⼼配なこと、不安なことがあれば、周りの⼈に相談しましょう。病気について周りの⼈に理解してもらうことも⼤切です。当院では精神保健福祉⼠による⽣活相談も⾏っております。
- 少し元気が出てきても無理はしないでください。急に元の⽣活に戻すことで症状がぶり返す場合もあるため、活動量を少しずつ増やすよう、主治医と相談しながら進めましょう。リハビリの⼀環として、リワークデイケアなど社会資源を活⽤することも有効です。当院でも他の施設と連携して⾏うことが可能です。